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中国地方の大学、公立化で国内進学は先細り

 日本語教育機関で学ぶ留学生にとって、広島国際学院大学の募集停止は大きな影響力を持つ。朝日新聞出版の「大学ランキング」によると、同大学は2018年度の学部留学生数で103位だった。全国に約800校ある大学のなかでも留学生を積極的に受け入れることで有名だった。そんな有力な進学先が消えることで、中国地方では日本語教育機関の留学生が蚊帳の外に置かれそうな気配が漂う。鍵となるのは相次ぐ公立大学の新設だ。
 2016年に学校法人東京理科大学の傘下にあった山口東京理科大学が山口県山陽小野田市の公立大学になった。隣接する宇部市に国立の山口大学工学部があり、学費が高い私立大学は分が悪く定員割れが続いていた。それが公立化によって学費が下がると、日本人高校生の支持を得て入試倍率が跳ね上がった。一方で留学生は公立化以前からあまり受け入れず、2019年度は在籍者数1148人に対して留学生数12人という状況だ。
 2021年に新たに公立大学を設置するのは公立大学法人広島県立大学だ。現在の広島県立大学とは別に、法人傘下にもうひとつ公立大学を設ける。収容定員400人の単科大学で留学生は100人を受け入れる予定。英語のみの授業を用意したり、海外在住の外国人高校生をインターネット面接で選考したりする方針で海外からの受け入れに注力する。
 ここにきて大きく動き出しそうなのは山口県周南市の徳山大学だ。2019年5月に就任した藤井律子市長は同大学の公立化を公約に掲げている。都市部の大学に流出する若者を市内に留めようとする政策だ。同大学は留学生が多く、2019年度は在籍者数1115人に対して留学生数229人。ただし、海外からの直接入学が大半で、公立化した場合に留学生が減ることは確実だが、私立のまま現状を維持しても国内の日本語教育機関からの進学が増えることはなさそうだ。
 定員厳格化の影響で都市部の日本語教育機関の留学生は地方の大学に流れ始めた。その流れの一部は中国地方に行き着くはずだった。しかし、広島国際学院大学が募集停止し、公立化が相次ぐなか、中国地方の大学は留学生の国内進学という大河の下流としては先細りつつある。

周南市議会は2015年の「周南市総合戦略に関する決議」において徳山大学の公立化を提言している

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