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九産大造形短大が描く独自の留学生像(前編)

 九州産業大学造形短期大学部が独自色の強い留学生受け入れをしている。外部の日本語試験に頼らない選抜と最新の施設で行われる充実度の高い授業。域内唯一の芸術系私立短大が考える理想的な留学生教育とはどのようなものか。前編は留学生入試についてレポートする。

正門から5分程度歩くと、九州産業大学造形短期大学部のキャンパスが見えてくる

 JR博多駅から鹿児島本線に揺られて20分。福岡の郊外に巨大なキャンパスが見えてくる。学生数1万人を超える九州産業大学だ。23号館まである学部棟のほか体育館、図書館、野球場などを備えた敷地は一望できないほど広い。
 この一角の15号館と16号館に九州産業大学造形短期大学部が居を構えている。2019年度は入学定員150人に対して142人の学生を確保した。苦戦が続く短期大学業界においては特筆すべき定員充足ぶりだが、これは留学生に頼った数字ではない。
 九州産業大学造形短期大学部は留学生、帰国子女、社会人を合わせて入学定員の5%程度受け入れるという目標を立てている。ただ、帰国子女と社会人の受験者は多く見込めず、この割合は留学生のみの受け入れ目標にも映る。2019年度の留学生の入学者は8人。入学定員の5.3%だった。遡れば2018年度も8人、2017年度も8人だったから、目標は忠実に達成されている。
 文部科学省の学校基本調査によると、全国の短期大学には約1500人の留学生が在籍しているが、これは全学生の1.5%に過ぎない。留学生率5%という割合は短期大学では異例の高い数値だ。

「クールジャパン分野に興味がある留学生を歓迎したい」と語る小田部学長

 九州産業大学造形短期大学部の留学生入試は外部の日本語試験を利用しない。11月の指定校推薦入試、1月と2月の一般入試はいずれも面接試験で日本語力を測る。小田部黃太学長は語る。「日本留学試験や日本語能力試験は留学生にとってハードルが高い。芸術を学ぶことと語学力は必ずしも関係があるわけでないから、短大の授業が理解できる最低限の日本語力を身に付けていればいい」。
 高い留学生率と日本語力を最低限しか問わない入試。一見すると留学生を安易に受け入れているようにも映るが、小田部学長はこれを否定する。「留学生を積極的に受け入れて定員を満たそうとは考えていない。留学生のなかには日本語能力試験N3程度で入学する者もいる。現在の受け入れ人数でも教職員は対応に苦慮することがあり、この割合が限界だ。芸術的能力で日本人学生と対等に渡り合える留学生のみに門戸を開いていく」。
 留学生の経歴を見ると、海外の芸術系大学を卒業したり、芸術関係の仕事を経験したりしている。5%の狭き門を潜り抜けるだけの芸術的能力に優れた外国人を高い精度で選抜した結果、極めて高度な人材が集まった。「日本人学生にとってプラスとなり学内を活性化する」(小田部学長)という留学生はいまや学内に欠かせない存在となりつつある。

(後編に続く)

 

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