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「国立大学のグローバル化と留学生政策」セミナー終了/日本語学校進路指導研究会

2018年3月3日(土) 日本語学校進路指導研究会の第7回セミナーが専門学校テクニカルカレッジにて開催された。

テーマは「国立大学のグローバル化と留学生政策」。

講師は、茨城大学教授 全学教育機構の第一線でご活躍されている安 龍洙氏。

留学生受け入れ50万人計画、受け入れ30万人計画、東南アジア・AIMSプログラムなど留学生増員の方針が次々と打ち出される一方で、受け入れ側の体制も変化が求められ、2003年国立大学法人法、第31条も第3期に入りグローバル化が掲げられた。これによって、国立大学は留学生の受け入れ数を公表しなければならない。中期の受入数の目標達成度により国立大学は文科省による補助金の額を決定されるので、大学側としても留学生確保に真摯に向き合わざる得ない状況である。

(国立大学の留学生の受け入れ人数は各大学が公表している)

こうした環境の変化を踏まえた今回のテーマ「国立大学のグローバル化と留学生政策」で、安氏の講義は、日本の現状を詳細に分析し、問題点とその対応策・注意点などに深く切り込んでゆく。

外国の人材を取り入れ活用していくことが、少子高齢化の日本は急務である。また、外国人を取り込めない企業は、今後競争力も低下していくことになるという。しかし、その外国の人たちを教育していく機関である日本語学校のライバルが、日本の企業であるという安氏の分析に驚かされた。

留学生の多くは日本での就職を希望しているが、まだまだ留学生に対する入口から出口までの整った環境は不十分であるという。そして、留学生は留学生同士でコミュニティーを作りがちだという。日本人と交流していない学生が4割というから深刻な状況である。もっと日本という国を知ってもらうことこそ大切で、地域や人との交流を活発に行える環境整備が必要となる。優秀な留学生が日本の大学に進学し、落ちこぼれるケースもあるという。まさに人や地域との交流で救える問題とも思う。

安氏自身が外国人として他国で勉強した経験を踏まえ、留学を経験した人のほとんどは、留学先の国に愛情を感じるという。多少の困難や問題があっても若いころ過ごした国を悪く言う人はいないと安氏は話す。世界中のいたるところから訪れた留学生が、いずれ帰る自国で企業の中枢となり日本を語るとき、愛を持って話してもらえる国でありたいと会場のだれもが感じたであろう。

2013年、留学生の国内就職率を現在の3割から5割へ引き上げていくことが閣議決定され、益々日本語と日本文化を深く理解できる留学生を育てていかなければならない。しかし、留学生支援に対し様々な意見がある。たとえば、経済的に困窮している日本人学生への支援を訴える声。また、留学生は教員にとって手間のかかる存在という意識。まだまだ留学生に対する認識は低く、国の政策とのズレを感じる。

「我々は留学生を受け入れる意味を考え、必要な支援を行わなければならない」と、安氏は語った。その言葉に皆深く共感したと感じる。

さて、国立大学へ留学生を送り出したいと説に願う日本語教育機関はどんな役割を担うのであろう。「日本語学校としては具体的に何ができるか」という参加者からの質問に、安氏は、アドバイスとして、大学進学を希望する留学生に対し、レポートを自分の文章で書く力をつけて欲しいと語った。レポートや論文等を苦手とする留学生が多く、授業についていけない一因になっているようだ。これには、母国語での文章力も影響するということだ。

また、「安氏が所属する茨城大学で留学生が多い学部は?」という質問に、「工学部。理系の学部だと難しい日本語は不要という間違った認識が留学生の中ではびこっているのかもしれない」とジョークを交えて応えてくれた。

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