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12月2日(土) 公開シンポジウム 日本語教師の待遇と評価 

12月2日(土) 公開シンポジウム 『日本語教師の待遇と評価』が開催された

会場は学校法人・専門学校HAL東京 総合校舎コクーンタワー31階・33階。当日,快晴。眺めの良い高層階に150名を超す業界関係者を含む日本語教師が集まった。午前10時、ほぼ定刻に東京板橋日本語学院の柳田憲昭氏が開会宣言とともに、日本語教師センター(東京)(柳田氏が同センター会長)の立ち上げの趣旨と案内を説明し、挨拶の言葉とした。

シンポジウムの最初の基調講演は、京都日本語教育センター、京都日本語学校校長の春原憲一郎氏による「日本語学校700億円産業に未来はあるのか」という、日本語教育の現状から近未来への在り方を示唆する内容

春原氏は、冒頭、演題の「日本語学校700億円産業に未来はあるのか」という問い掛けに、「Yes,」と自ら応えて「No, だったら講演はこれで終わってしまいます」と会場を沸かせ「その根拠は…」として本題に入っていった。

内容は、世界の動向と日本語教育、これからの語学産業の在り方、日本語学校の専門性、外国人留学生のニーズの多様化への対応、言語間コミュニケーションへの対応と横のつながり、日本語学校と地域社会の関係など多岐に渡った。

今後、日本語学校は、多様化する外国人のニーズと日本人との多文化間コミュニケーションの中核にあって、相互変容の架け橋のような役割を担うべきであろうという言葉が印象に残った。

確かに、昨今の介護ビザの改正など、外国人労働力へ期待する範囲が広がっている。外国人留学生にとって、日本社会への入口は、日本語学校であり、アルバイト、行政手続きなどを通して日本社会とのつながりを深めていく機会が多い。日本で就職を希望する留学生も年々増えている。日本語教育現場では、既に日本語学校は言葉だけを教える場ではなくなっていることに気付いているはずだが、周囲の日本人側の認知度はまだまだ低い。そうした環境を整えていくことも含めての日本語教育ということなのだ。そしてそうした取り組みは、今、正に、京都日本語教育センターにおいて春川氏が推進しているミッションなのであろう。

基調講演終了後の質疑応答では、多くの質問者の手が上がり、核心をついた質問に春原氏が応え、参加者全員の熱心な取り組みがひしと伝わってきた。

続いての講演。11:40から約30分間は、統計調査発表「東京23区非常勤講師300人の働き方」について

23区内で現在、現職の日本語非常勤教師100名弱に勤務時間・時間給など、待遇についての詳細なアンケート調査を実施し、その結果を発表した。

新しい日本語教師センター(東京)に対して、先輩である京都日本語教師センターの春川氏のアドバイスは、①日本語教師は弱者の味方であれ! ②統計調査をすること とのことであった。

今回の統計調査は、今後の日本語教師の待遇改善を世の中に訴求する上で第一歩となる貴重なデータである。

前半最後。12:10から30分は、特別講演「留学生の就職事情」

学校法人日本教育財団HAL東京で取り組んでいる留学生への就職サポートを入学時から卒業・就職までトータルに行うシステムの説明があった。

日本語教育を単に言語教育として捉えるのではなく、日本経済の担い手として、人材教育を実施するという捉え方は、日本語教育現場への今後の課題であり、HAL東京の試みは理想的なシステムといえよう。

後半は3つの分科会

昼休み、休憩をはさんで後半14:20からは来場者が3つの分科会に分かれて各テーマごとにパネリストを通しての討論会となった。

分科会①「日本語学校の人事評価―3校をモデルに」

分科会②「日本語学校の帳簿から考える教師の給与」

分科会③「多面的に見る日本語教師求人情報―雇用主、就活者、求人サイトの視点から」

16:30までの長丁場だったが、最後まで、熱のこもった議論が続き、1日に押し込めることのできない重厚なテーマであった。

本日一日のさまざまな課題を参加者が持ち帰り、各人を通して日本語学校・日本語教育の現場に即、反映されるかというのは性急すぎる。しかし、決して遠い先のことではないように思える。意識改革はまずは自分からなのだ。日本語教育産業に未来はある。参加者は30代、40代の中堅世代が多かったようだ。大きな期待がもてる。

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